タイル張りのお風呂は耐久性に優れていますが、経年劣化は避けられません。タイルが劣化したときは、破損の程度を見きわめて適切に対処する必要があります。判断を誤ると、家の構造部分まで腐食する恐れがあり、より高額な費用が必要となるかもしれません。そこでこの記事では、タイル張りのお風呂の3つのリフォーム方法や費用相場を解説します。
お風呂場がタイル張りのメリットとデメリット
タイル張りのお風呂にはメリットとデメリットがあります。ここでは、それぞれについて解説していきます。
好きなデザインにできる
タイル張りのお風呂の魅力は、デザイン性が高いことです。
タイルは色や柄、サイズのバリエーションが豊富です。さらに、ステンレスや人工大理石などと組み合わせることもできます。そのため、組み合わせや配置しだいでオリジナリティあふれる空間が作れるでしょう。
タイル張りのお風呂は、デザイン性を重視したい人に向いています。
耐久性・保温性に優れている
タイルは耐久性と保温性に優れた素材です。そのため温度変化が激しい上に頻繁に水を扱うお風呂でも劣化しにくく、メンテナンスの手間と費用が省けるでしょう。
また浴槽にタイルを採用している場合は、保温効果によりなかなかお湯が冷めません。追い炊きの回数を減らせるので、光熱費の節約にもつながります。
補修工事が楽
もともと耐久性の高いタイルですが、仮に破損したとしても比較的容易に補修できます。
タイル表面のひび割れならDIYでも補修可能です。欠けたりはがれ落ちたりするとDIYでの補修は難しいですが、数枚破損しただけなら業者に依頼したとしても比較的小規模な工事で済ませられます。
水垢やカビが発生しやすい
タイル貼りのお風呂のデメリットは、水垢やカビが発生しやすいことです。
とくに、目地（タイルとタイルの間のセメント部分）には細かい凹凸があるため、水垢やカビが発生しやすいです。水垢やカビを防ぐには、こまめな掃除が欠かせません。
そのため、掃除が苦手な人や忙しい人には負担となる可能性があります。
お風呂のタイルを部分的に補修する
下地に破損がなく、タイルや目地の表面のみがひび割れている場合は、比較的容易に補修できます。ここでは、タイルの補修方法と費用相場を解説します。
タイルの補修方法
タイルのひび割れを補修する手順は以下の通りです。なお、コーキング材を目地材に替えれば目地のひび割れも同様の手順で補修できます。
【用意するもの】
・コーキング材
・ヘラ
・マスキングテープ
・汚れてもいいタオルなど
【手順】
（1）ひび割れ周辺の水気を拭きとる
（2）ひび割れの両側にマスキングテープを貼る
（3）ヘラにコーキング剤をつけて、ひび割れの内部に入りこませるように塗る
（4）乾いたらマスキングテープをはがす
ひび割れの補修に必要なものはホームセンターなどで簡単に購入できます。下地に破損がないことを確認できたら、DIYで補修してみましょう。
タイル補修の費用相場
タイルの部分補修を業者に依頼するときの費用相場は以下の通りです。
タイルのひび割れ補修：3万円～
目地補修：2万円～
ひび割れの程度や目地の状態によって費用は異なります。あくまでも相場として参考にしてください。
お風呂のタイルを張り替える
以下の状態になったときは、業者にタイルの張り替えを依頼しましょう。
・下地にひび割れや欠けがある
・ひび割れや欠けが広範囲にある
・タイルが浮いている
下地が傷つくと家の内部に水が入りこむので、構造部分が腐食する恐れがあります。ここでは、タイル張替えの工程と費用相場を解説します。
タイル張替えの工程
タイル張替えの工程は以下の通りです。
（1）破損しているタイルと周囲のタイル、目地をはがす
（2）下地の表面を平らにする
（3）目地が均等になるようバランスよくタイルを並べる
（4）タイルの裏に接着剤を塗布する
（5）押さえるようにして1枚ずつタイルを置く
（6）目地材を注入する
タイルの張替えは、業者に依頼するのがおすすめです。というのも、タイルの張替えはひび割れの補修に比べて作業工程が複雑で難易度が高いからです。とくに破損したタイルをはがす際には、下地を傷つけないように細心の注意を払わなければなりません。
もちろんDIYより費用はかかりますが、プロの技術で質の高い工事ができるので、長い目で見ればそれほどコストパフォーマンスは悪くないでしょう。
タイル張替えの費用相場
タイルの張替えを業者に依頼したときの費用相場は以下の通りです。
床全面：6万円～
壁全面：10万円～
数枚：3万円～
なお、タイルの張替え費用は以下の事項によって異なります。
・下地の状態
・タイルのデザイン
・張り替え範囲
もちろん業者によっても異なるので、あくまで相場として参考にしてください。
お風呂をタイル張り（在来工法）からユニットバスにリフォームする
タイルの劣化が激しく全面張り替えを検討する必要がある場合は、パーツ組み立てて作るユニットバスにリフォームする選択肢もあります。ここでは、ユニットバスへのリフォームについて解説します。
ユニットバスのメリット
ユニットバスのメリットは、以下の3つです。
1．手入れがしやすい
2．断熱性が高い
3．床が滑りにくい
1．手入れがしやすい
ユニットバスは、メーカーがさまざまな工夫を凝らして作っているので手入れがしやすいです。中には、汚れがつきにくい加工をしていたり、乾燥しやすい素材を使ったりしているものもあります。そのため、ユニットバスは掃除が苦手な人におすすめです。
2．断熱性が高い
ユニットバスは、壁や床の下地部分に断熱材が使用できるため、タイル張りのお風呂に比べて断熱性が高いです。断熱性が高いと、外気温に左右されにくくなります。とくに冬場はお風呂が寒いとつらいですが、断熱性の高いユニットバスにすることで快適性が高められるでしょう。
3．滑りにくい
ユニットバスの床は、滑りにくいよう工夫がなされています。そのため、お風呂で滑って転倒するリスクが下げられます。とくに、幼い子どもや高齢の家族がいる家庭では、安全性の高いユニットバスの方が安心かもしれません。
ユニットバスリフォームの費用相場
一戸建てのユニットバスリフォームの費用相場は、75〜170万円程度です。ユニットバスリフォームの費用は、以下の事項により大きく異なります。
・お風呂のサイズ
・お風呂周りの家の構造部分の状態
・オプションの有無（浴室暖房乾燥機、追い炊き機能など）
・ユニットバスのグレード
・一戸建てかマンションか
家の構造部分の状態は、工事を始めてからでないとわかりません。腐食していた場合は追加で費用が必要になるので、予算には少し余裕をもたせておきましょう。
ユニットバスリフォームで補助金制度を活用
ユニットバスリフォームで利用できる補助金制度は以下の6つです。なお、ここでは2022年6月現在で使用できる補助金制度を紹介していますが、来年も同じように実施されるとは限りません。そのため、自分がリフォームしたい年度に実施しているかの確認が必要です。また、業者によって使用できない補助金制度もあるので注意しましょう。
さらに、それぞれの補助金制度は併用できなかったり、ユニットバスリフォームだけでは補助対象とならなかったりといった細かいルールがいくつかあります。補助金制度の公式サイトや、お住いの市区町村の窓口などで確認してみてください。
【国の補助金制度】
| 補助額 | 補助上限額 | ||
| 長期優良住宅化リフォーム推進事業 | 1／3 | 250万円 | 公式サイト |
| こどもみらい住宅支援事業 | 工事内容により異なる | 60万円 | 公式サイト |
| 既存住宅における断熱リフォーム支援事業 | 1／3 | 120万円 | 公式サイト |
| 次世代省エネ建材の実証支援事業 | 1／2 | 300万円 | 公式サイト |
【自治体の補助金制度】
| 補助額 | 補助上限額 | ||
| 介護保険における住宅改修 | 7～9割 | 18万円 | 公式サイト |
| 自治体のリフォーム補助制度 | 自治体により異なる | 自治体により異なる | 自治体により異なる |
お風呂をリフォームする際の注意点
お風呂をリフォームする際の注意点は、主に2つ挙げられます。それぞれについてまとめたので確認していきましょう。
工事期間をしっかりチェックする
お風呂をリフォームするときは、事前に工事期間をしっかり確認しておきましょう。当然ですが、リフォーム中は自宅のお風呂が使えません。
お風呂のリフォームの工事期間の目安は1週間程度です。ただこれは、追加工事がなく既存の浴室とユニットバスを入れかえるだけの一般的な作業工程を行った場合の日数です。工事中に家の構造部分の腐食が見つかれば、さらに工事期間が長くなる可能性があります。
工事期間が予定より長くなっても困らないよう、入浴できる施設を調べておきましょう。
複数の業者から見積もりをとる
お風呂のリフォーム工事をするときは、複数の業者から見積もりをとりましょう。
リフォーム費用は業者によってばらつきがあり、場合によっては不当な金額を請求されることもあります。中には見積もり額が安くても、あとで追加費用を請求されたり、浴槽の型が古いものにされたりするケースもあります。
複数の業者から見積もりをとり、工事内容をしっかり確認しながら正しい相場を見きわめましょう。
お風呂をリフォームして快適な空間に
この記事では、タイル張りのお風呂のリフォーム方法と費用、使える補助金制度などを解説しました。お風呂のリフォームはお金も時間もかかるので、納得いく方法を選びたいですよね。
弊社には経験豊富なスタッフが多数在籍しています。ご相談いただければプロの視点からお答えしますので、お風呂のリフォームで悩んでいる方はぜひ一度お問い合わせください。
